gakuのブログ

日々感じたこと、少しずつ書いていけたらと思います。

戦争、そしてコロナの中の退職の春です

 退職まで残り10日を切りました。

 戦争、そしてコロナ禍。

独裁者の横暴、人間の自然との間違った向き合い方の結果をまざまざと目にして、でも、あきらめるのではなく、それでも進歩を、民主主義の力を信じたいと思う春です。

 振り返ってみると、私の仕事はほとんどが福祉の現場でした。

 借金で家族が崩壊し戻る家がなくなった高齢女性と施設入所のため最低限必要なものを買い終えて立ち寄ったファミレスで一緒に食べた鍋焼きうどんが今でも思い出されます。あの時、彼女の財布に残っていたお金は五千円もなかったはず、でも、彼女が注文したの千円以上する鍋焼きうどん。隣にいながら「お金少しでものこしておいたらいいのに」と思ったのと、鍋焼きうどんをゆっくりゆっくり味わって食べていた彼女の姿を今も鮮明に覚えています。その数年後に訪問した施設でホールに貼られた習字に彼女の名前を見つけ、彼女と再会することができました。その施設職員から、穏やかな施設生活を送っていることを教えてもらい、私が「あの時は大変だったけど、この世の中なんとかなるものだね。」と声をかけると、彼女は、「いや、違うよ。なるようにしかならないものですよ。」と。そして、施設に入っても、一家離散した家族はもちろん、訪ねてくる人は誰もなく、最初に入った施設では、保護費では費用が賄えず借金をしていたこと、今の施設に移ってからは少ない年金からその借金を少しずつ返していたことを教えてくれました。この間彼女が抱えてきたものの重さを改めて思い知らされた場面でした。再会から10年して、新聞の東日本大震災津波被災者の欄にあの施設と彼女の名前を見つけたときには絶句せざるを得ませんでした。

 振り返れば、これ以外にもたくさんの人生に関わった35年でした。そして、その都度自分が試され、たくさんのことを学んだ日々でした。

 平和で、誰もが安心したら生きられる社会になるようこれからも努力を続けたいと思う春です。

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大学を出たばかりで、公民館職員だった一場面から。